これまで、空き家と相続の問題を取り上げてきましたが、第3弾となる今回は「空き家の放置リスク」についてです。

空き家になることで、どのような問題が身近に迫っているのか、具体例などをあげながら解説していきたいと思います。





空き家のまま放置するリスク

空き家のまま放置すると様々なリスクを背負ってしまうことを皆さんご存知でしょうか。
前回の記事では問題点を大きく4つ挙げました。

  • 放火による火災
  • 老朽化による家の崩壊
  • 固定資産税の増額
  • 特定空き家に指定される

なんとなく意味はわかるけど、これだけではどれほどの被害に繋がりかねないか分かりづらいですよね。そこで、ここからは上記の問題4つを詳しく解説していこうと思います。




放火による火災

空き家は人目がなくお手入れされていないことから、草木が生い茂っていたり、ゴミが散乱していることが多いため、放火魔のかっこうのターゲットになります。

もし近隣の住宅に火の手が回ってしまったら、とんでもない被害を出してしまうことは容易に考えつくのではないでしょうか。


>> 火災により近隣の住宅に被害がない場合

燃え残った物の残骸撤去をしなければいけません。もちろん残骸撤去には費用が発生します。

もしも、そのまま放っておくと景観の悪化や悪臭について近隣の方からクレームが入ってしまい、損害賠償を請求される可能性もありますので、残骸撤去は必ずしなければなりません。


>> 火災により近隣の住宅に被害がある場合

重大な過失がない場合は、出火元でも法律によって賠償責任を負う必要はありません。

しかし、敷地内に持ち主がゴミなどの燃えるものを放置していた場合は、それらが重大な過失と認められてしまう可能性があります。

そうなった場合は、損害賠償金を支払わなければいけなくなり、時には億単位まで賠償額がふくれあがってしまうこともあります。




老朽化による家の崩壊

日本の家屋の多くが木造です。それらの家は定期的にメンテナンスをしないと老朽化してしまいます。

老朽化することで小さな地震や台風、大雨などの天災で崩壊してしまうことがあり、近所の方に迷惑がかかるうえ、景観の悪化にも繋がってしまいます。

また、1番恐れなければいけないことは、空き家が崩れたときに、誰かに怪我をさせてしまったり、死亡させてしまったりすることです。

例えば古くなった瓦が落下してきて、通学中の子どもに大怪我をさせてしまう可能性もあります。

このように、空き家を所有しているということは、災害が起きないための建物や敷地の管理責任も伴うのです。




固定資産税の増加

固定資産税は、1月1日時点で土地や建物を所有している人に課せられる税金で、空き家の場合でも払わなければいけません。

また、建物がある土地の場合は特例措置があり、税金が軽減されているのです。

空き家の場合にも特例措置が適用されていたのですが、空き家が社会的に問題となり、平成27年5月に「空室等対策の推進に関する特別措置法」が執行されました。

この法律が執行されたことによって自治体が空き家の確認作業を行い、しっかりと管理されていない空き家の場合は「特定空き家」に指定されてしまうことになりました。

この「特定空き家」に指定された場合、税金の特例措置が受けられなくなるため、最大で6倍の税金を払わなければいけなくなります。

「特定空き家」については下記で詳しく説明しますのでぜひ目を通してみてください。




特定空き家に指定される

「特定空き家」に指定されてしまうと、固定資産税の特例措置が受けられなくなるうえ、最大で6倍の税金を払わなければいけない可能性がでてくると上記でお話ししました。

では、「特定空き家」に指定される状態とはどのような状態なのでしょうか。

倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

建物の破損や門や看板などの崩壊の危険性がある状態

著しく衛生上有害となるおそれのある状態

ゴミの放置による害獣の繁殖、汚物による異臭による衛生上有害となる状態

適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

落書きや草木の繁殖、ゴミの放置により、景観を損なっている状態

その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

近隣に立木が散乱、動物による異臭や騒音、不審者の侵入、落雷の危険性など、近隣住民の生活に影響を及ぼしている状態



上記の4点に1つでも当てはまると判断された場合「特定空き家」となり、固定資産税が6倍となってしまうのです。

改善することができれば「特定空き家」指定から解除されますが、対策を講じないと、次は自治体から解体命令が出されますし、それさえ無視していると自治体が強制的に解体し、それらに掛かった費用を請求されることになります。

上記の問題を読んでいただき、どれも深刻な被害に繋がりかねないということがわかっていただけたでしょうか。

空き家を持つということはこれほど大きなリスクを背負うということになってしまうのです。

多くの地域で増加する空き家。空き家問題は決して他人事ではありません。

これ以上空き家を増やさないためにも、まずは空き家に関する知識を備えておきましょう。