長崎県波佐見町中尾郷にある中古住宅をご紹介します。
“陶磁器の町”波佐見町の中でも、焼き物の歴史的風景が色濃く残る中尾郷。路地裏や煉瓦造りの煙突など、どこか懐かしい町並みが広がります。
毎年桜の季節には「桜陶祭」が、秋には「秋陶めぐり」が開催されていて、窯元をめぐって作り手との交流が楽しめるのも中尾郷の魅力の一つです。
今回ご紹介する物件は、その散策ルートから1本入り込んだ場所にある築53年の和風住宅。傷みや経年劣化もありますが、少し手直しをすることで気持ちよくお住まいいただけそう。
風情豊かな環境で、ゆっくりとした時間を過ごされたい方にオススメの物件です。

目次
- 外観
- 内観
ルームツアー
下の画像をクリックして動画で全体像をご確認いただけます。(※再生すると音声が流れます)
高画質でのご視聴は“こちら”からご覧ください。
物件までの道のり
こちらは中尾郷のメインストリート。道幅は5.2mほどありました。

「池上平八郎酒店」様のレトロな看板を目印に奥へと進みます。
入り口付近の道幅は3mほどありますが、奥に行くにつれて狭くなっている印象。一番狭い箇所で2.2mほどと狭めなので慣れるまでは少々時間がかかりそうです。ご近所の方は小慣れた様子でスイスイと運転されていました。

坂道になっているので若干出入りのしづらさがありそう。

コンパクトカーで通るとこんな感じ。両側にはすこしずつ余裕がある状態です。

見通しがあまり良くないので、出入りの際は注意が必要です。
それぞれの通りに、焼き物のプレートが設置されているのも中尾郷の特徴の一つ。こちらの「山ン下通り」をさらに奥へと進みます。

カーブミラーのある三叉路を左へ少し進むと、今回ご紹介する物件が見えてきます。
建物外観

古き良き日本家屋の佇まい。昔ながらの家づくりの要素が、随所に散りばめられています。
前面道路は3項道路に指定されているため、建て替えの際などは道路中心から1.35mのセットバックが必要となります。

築53年と年数が経っているため、ところどころに経年劣化の様子が見られますが、雨漏りなどもなく全体的にサッパリとした印象でした。
上空からの様子
1644年に始まったとされる中尾山の陶磁器生産の歴史。世界最大級の登り窯跡である「大新登窯跡」や、世界第2位の「中尾上登窯跡」なども発見され、焼き物の歴史を肌で感じることのできる地域となっています。山々に囲まれているため自然も豊かで、ものづくりの気配を感じながらのお散歩などもとても気持ち良さそうでした。

宅地部分は417.43㎡(126.27坪)と広く、駐車場スペースも十分。宅地の奥には159㎡ (48.09坪)の畑も付属されます。
屋根

いぶし瓦は、陶器瓦と違って釉薬が使われていないので色合いにムラが出てきますが、これも日本家屋の味の一つ。植物が根付いている場所もあったので、今後はメンテナンスも必要になりそうです。
上水道配管図

上水道は前面道路を通って建物まで配管されています。下水道は整備されていないので、現状では定期的にトイレの汲み取りが必要になりますが、浄化槽を設置いただくことで快適にご使用いただけそうです。
駐車場

建物の南側には、4〜5台ほど停められそうな砂利敷きの駐車場がありました。
入り口の幅は5.5mほどとなっていて、コンクリートでなだらかに舗装されています。

全体的に平らですが、いくつか水たまりもできていました。

石垣の近くには排水枡があり、駐車場を通って排水されているようです。
駐車場奥

現在は草が生い茂っていますが、草刈りを行うことで駐車場としても広くお使いいただけそう。
南側の様子
立派な入母屋屋根の建物。瓦のいぶし銀が趣をより一層引き立てます。
建物は駐車場より一段低くなっていて、細い通路を進むと土間やキッチンからの出入り口がありました。

大きな柿の木に石の柱。長い間この場所で時を過ごしてきたのでしょう。

溝には石の蓋がかけられていました。

お庭のすみっこには小さな池もあるので、メダカや金魚などを飼うのも良さそう。
東側の様子

思わず「ただいま」と言いたくなるような、どこか懐かしい雰囲気。
コンクリート製の階段があるので、お部屋への出入りも簡単。外水栓も設置されているので、畑で水を使う際にも何かと便利です。
敷地には不要物が残されていますが、引き渡し時には撤去されます。
畑

裏の畑の様子。現在は近隣の方に貸し出されているそうで、作物がいくつか植えられていました。畑の奥の方には小屋のようなものもありました。

草を刈って耕せば、もっと広いスペースとしてご活用いただけそう。
北側の様子
敷地内には人一人が通れるスペースがありましたが、一部塀が無い場所もあったので気をつけて進みます。
こちらにはトイレの汲み取り口。敷地内からの排水管は、隣地との間にある側溝へ続いているようです。
前面道路が坂道になっているので、南側に比べてこちら側の基礎は立ち上がりが高くなっていました。

道路へ通り抜けできるよう、石垣の一部が低くなっています。北側の外壁には、全体的にトタンが張られていました。

たかが石積みされど石積み。深い色合いの石積みに心奪われます。
玄関付近
どっしりと重厚感のある玄関まわり。上部の飾りも上品です。
玄関前はフラットになっていますが、坂道を下るにつれて高低差が付いています。

軒天には木材が使用されていますが、比較的綺麗な状態で保たれていました。
間取り
築年数が経っているので使用感や劣化などはありますが、とても丁寧に住まわれていた様子が伺えます。畳や縁側などもあり、穏やかでゆったりとした空気感が漂っていました。それでは早速、室内の様子を見ていきましょう。

間取りは4SKタイプ。
玄関・ホール → 和室8畳① → 縁側①・納戸 → 和室4.5畳二間 → 縁側② → 洗面室 → 浴室 → トイレ → キッチン → 土間 → 和室8畳②の順にご紹介いたします。
玄関・ホール
玄関ホールは広く明るい印象。レトロな珠のれんも良い味出してます。
玄関タイルは少し汚れなどもありますが、割れなどもなく比較的きれいな様子。

天井の造作と照明もマッチしていて素敵です。

ホールの床には、一部白アリによる食害のような跡がありました。
和室8畳①
ちょうどいい大きさの和室には、アンティークなタンスと椅子がピッタリ。

このノスタルジックな空気感がたまりません。
お隣には4.5畳の和室と縁側が続いていて、窓を開けると風が抜けて気持ち良さそうです。

ふすまや畳にはシミや傷などが多く見られました。
レトロな家具たちが圧倒的な存在感を放ちます。
縁側①・納戸
こちらは縁側の様子。縁側の奥の扉は納戸へと続きます。
ブレーカーはボックスなどには入っておらず、壁に直付けされていました。窓がついているので、換気ができるのは嬉しいポイント。
衣類や調度品を収納する“長持”。かつては嫁入り道具の定番の一つとされていたそう。奥には棚も設置されています。
今では珍しい模様入りのすりガラス。窓を開けると遠くの方に煙突が見えました。
照明や壁の板張りなど、全体的にシンプルなつくりになっています。
和室4.5畳二間
現在、真ん中の襖が取り外されているので、一体の広い空間になっていました。
柱や建具なども当時のままのようです。
コンパクトな掘りごたつ。寒い日には自然とみんなが集まって来そうです。襖にはシミなども見られました。
襖の模様も華やかでかわいらしい。畳は全体的に擦れなどがある状態でした。

扉や天井などにはシミや黒ずみが目立ちます。
縁側②
カーペット敷きの広めの縁側。題名をつけるなら「憧れのスローライフ」といったところでしょうか。
こちらの天井も黒ずみなどが見られます。緑色のカーペットにはひどい汚れなどはありませんでした。

自分で耕した畑をのんびり縁側から眺める。なんとも贅沢な時間です。
畑を挟んでいるので、圧迫感もなく気持ちよくお過ごしいただけそう。

草刈りなどお手入れをすることで、素敵なお庭になりそうですね。
洗面室
洗濯機置き場と洗面室。洗面室の引き戸もレトロで素敵です。
洗面台はシンプルなデザイン。鏡やスイッチ類は側面についていました。

シャワー付き2ハンドルの混合水栓。スイッチカバーの「National」の文字が時代を感じさせます。
浴室

コンパクトな浴槽に、懐かしいタイル張りの浴室。
シャワーに2ハンドルの混合水栓もついています。この不便さが逆に愛おしい。
天井や壁なども多少の汚れやひび割れはありますが、全体的にスッキリとした印象。
トイレ

トイレは簡易水栓タイプ。現在水を流すレバーは故障中とのことです。
ウォシュレットやペーパーホルダーも完備。
こじんまりとした手洗いもついています。窓も二箇所付いているので換気もバッチリです。

壁紙は小さなチューリップがあしらわれた可愛らしいデザイン。
キッチン
キッチンはレトロな壁付けタイプ。出窓から柔らかな光が差し込みます。
床には傷やシミの跡のようなものが目立ちました。
照明のカバーは無い状態。冷蔵庫裏の壁もシミなどがありました。
こちらは勝手口の様子。裏の柿の木が植えられていた場所に出ることができます。

全体的に使用感はありますが、丁寧に使われていた様子が伺えます。外を見ながらのお料理、憧れますよね。
コンロや換気扇は汚れが目立ちます。動作は未確認です。
調理台にも何かの跡のようなものやサビなどが見られます。

リンナイの瞬間湯沸かし器が付いていました。(動作未確認)

シンク周りも水垢などがあり使用感がある状態でした。
土間
廊下の奥には土間スペースがあり、奥の引き戸からは勝手口の外と同じ場所に出ることができます。
和室8畳②

南に面した8畳の和室には、大きな窓からたっぷりの日差しが届きます。タンスなどの家財道具一式は、お引き渡しまでに撤去されます。
タンスを動かすと白アリの食害の跡が出てきました。購入される際は、お引き渡し前に白アリ調査をオススメします。

こちらにもコンパクトな縁側がありました。
窓からは駐車場や道路が見えます。近接した建物がないので、圧迫感などは感じられませんでした。
畳には2箇所ほど大きな白アリの食害の跡が見られました。縁側の床も一部擦れている状態です。
一箇所だけ畳が剥がされていて、木板が見えています。天井や畳には、雨染みの跡のようなものがありました。
まとめ
今回の物件はいかがだったでしょうか。
現在でも多くの窯元が集まり、古き良き伝統を守り育てている中尾郷。今回の物件も、焼き物の歴史と豊かな自然を肌で感じることができました。
建物は全体的に経年劣化による傷みがあるものの、大切に住まわれていた様子が伺えます。家庭菜園やお庭作りを楽しみながらのスローライフを送りたい方や、窯元に近い環境でモノづくりを学びたい方の拠点にもオススメです。ぜひ一度ご検討ください。
360度ルームツアー
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